或る阿呆のナマステ

それこそひそやかに

Keep On Fighting

桜島

お昼のニュースを見ていたら、「長渕剛さん、桜島で7万5千人コンサート大成功、その舞台裏」というのが始まった。
さかのぼること9ヶ月前。長渕剛は、桜島での特大ステージ設営の許可をもらうため、それともうひとつ、県ぐるみの警備の要請のため鹿児島県庁へ自ら出向いた。
知事と正対し、落ち着き払ったような神妙な顔をして彼は言った。

「…桜島は僕の原風景でありますから、とにかくそこに7万人を結集させたい」
「…鹿児島県警さんにも、ぜひ陸海空からの支援をよろしくお願いしたい」


桜島は自分の原風景、だから7万人呼びたい、というその因果関係がまったくわからなくて今年一番テレビで笑った。だいたいそんなことしたら原風景壊れてしまうよ。陸海空の支援というのも面白い。まさか桜島近海をぐるっと囲んだテロルなんか起こらないだろう。空爆なんかあるわけねえだろ。
これを友人に話し、「なぜ原風景だから7万人呼ぶのか」と聞いたら、すぐに「原風景をファンに見せたいんだろ」と返ってきた。自分の鈍感ぐあい馬鹿ぐあいに落胆した。自分はすっかり、彼の前科であるクスリからくる誇大妄想などを連想していた。原風景に7万人、絶対呼ばなきゃ!というような短絡的な誇大妄想。

ともあれ大成功でよかった。最終的には7万5千人の集客。「桜島に来てくれそうな長渕ファン」が「おおよそ7万人」だと言う緻密な計算が事前にされていたんだろうが、想像するとなんだかそれも面白い。

鹿児島本島と桜島を結ぶフェリーには、おびただしい数の長渕ファンが乗り合わせ、一日でその乗客数はまるまる一年分にまでのぼったそうだ。フェリー会社は長渕氏に当分頭が上がらないだろうな。

地元に及ぼした経済効果は40億にもなるらしい。

なにやらこれを皮切りに長渕効果チャリティーが始まりそうな気がする。有毒ガスがおさまりしだい三宅島にステージが建つような気がしてならない。