或る阿呆のナマステ

それこそひそやかに

逃げ込んだ高架下で口ずさむ

息が詰まる。自分の部屋にいると吐き気がする。引っ越してから一ヶ月が経つが、やっぱり自分の部屋は駄目なのだ。
自分の意識の如意のまま創り上げられる環境。それが次第に生き物となって自分に圧力をかけはじめる。俺を創ってくれ、俺を造ってくれと自分に懇願するのだ部屋が。
おかしい。自分の意識で以てつくった部屋が自分を圧迫する。創造意欲の産物が自分を息詰まらせる。なんだこれは。
耐えられない。プロミスリングを聞いて盛り上がろう。失敗した。部屋が怒ってる。
弟の部屋で最近は寝ている。弟が朝帰り人だから。夜中に帰って来た。たたき起こされた。泣く泣く渋々自部屋で就寝。
ひょうたん「宇宙の傍らで」を聞きながら寝煙草。
「憂える僕らの部屋に宇宙人がやってきて15年前と変わらず許してくれる」
その一節に煙草を落とす。
15年前の今頃は以前の住居に住み始めてちょうど一ヶ月のころ。ぼく6歳児だった。
6歳児の様な無垢で以て自分の部屋を構築しようかな。