或る阿呆のナマステ

それこそひそやかに

世界の終わりを見に行きたいな。風に願いを膨らませ。

高校時代浪人時代に、いい歌を作るバンドの乾坤一擲の一曲を、ワンカップ飲みながら夜中自部屋に一人聴くだけで生きていてよかったなあと思っていた僕はお目出たき人だった。

  • 以下各バンドの乾坤一擲。
    • syrup16g--生活--この曲調だからしてきっと見通しはきいているって、くみとってくれるでしょ?という算段ができる余裕のスタンス。を装う乾坤一擲。
    • fra-foa--ちいさなひかり。--インディーズ時代から暖めてきたE-A-B-C#mの黄金律をメジャーで完成させ、売り込もうという乾坤一擲。そして楽曲は完成形を見た。皮肉なことにバンドのアイデンティティはこのとき再起不能なまでに植物状態へ。
    • THE BACK HORN--甦る陽--カラ元気の乾坤一擲、明日の革命は今日の天気予報では流してくれない。もともと部屋にはテレビがない。幸か不幸か、その日だけは天気予報で革命を示唆してくれていたらしい。予報は外れた。よくあることだ。世界の終わりはどんな雲が天球の下に靡いているんだろう。ブリッジミュートでそんな雲をすべて、世界の終わりでねじ伏せよう。
    • THE ピーズ--手おくれか--バンドがうねっていれば手遅れだろうが続いていく。続いていくがおそらく誰も幸せにはならない。手遅れだから。でもバンドアンサンブルは至極好調なまま。課題といえばドラマーを毎日毎日励まさなければいけないこと。これ、もう手遅れなくらいにバンドのフォーマットとして間違ってるなあ。
    • eastern youth--木枠の窓--もし明日、槍が降ろうが革命が降ろうが!しかし悲観主義者のトラさんは明日のトラジディイも今日の延長であることを知って反発をあきらめる。はずがあきらめ切れなかった。片道切符の旅である。ノー回顧。乾坤一擲、死ぬまでヴィジョンは西陽。
  • 乾坤一擲とは往々にして十分にお先真っ暗だと思い込む人間たちがカラ元気になっちゃってかます見舞うイタチの最後っ屁。でもどれもそのタイミングは謀ったように正確。だからそののち各バンドは解散しようが休止しようが再開しようが創作活動の継続として成功している。しかしやっぱり一番の名曲は混迷の果てのニヒリズム、に堕ちずに乾坤一擲、エバーグリーンを作り上げた、その最後っ屁の一曲。ポップソングを生むロックバンドはえてしてそういうケースが多い。