或る阿呆のナマステ

それこそひそやかに

虚弱に捧げるバラード

自分の失敗に責任を感じた兄さんはこう呟いた。
「むう。おのれ己!」
どうやら責任なんかこれっぽっちも感じちゃいねえ。
「君がいくらイクラを買ったってこの世から鮭が消えてなくなるわけじゃないんだよ」
真剣にショックを受けている。
どうやら五歳児にこの現実は重すぎたようだ。
責任を取らされた兄さんは
三ヵ月後白骨死体になって関西地方の海辺に浮かんでいた。
「神戸に浮かんだしゃれこうべ。なんてな」
おっとそいつはきついしゃれだぜ。
兄さんも浮かばれねえ。
あ、もう浮かんでらあ。
逃げ切れずにショットガンで撃たれた俺だったが
思わず口をついて出た最後の言葉がこれだった。
「散弾には当たらない算段だったんだけどなあ」
最早何を言っても手遅れなようだ。
そんなところで人生お開き。
また来世のお楽しみ。