或る阿呆のナマステ

それこそひそやかに

魔女狩る苦悩だわ

知らない間に家の者のタバコを吸い尽くしたので自販機で買い、謝ったあとに家の者に差し出すと
「そういう問題じゃないだろう」
と言われ久々に本気出して考えてみたが気づいたら俺はもう21歳でして成人だから喫煙には何の制限もかからないし後ろめたさも無い。つまりこの線は消えたんだ。
手癖の悪さは親譲りなのでこの線も無い。
吸い尽くすことによる、家の者のニコ中から来る焦燥苛立ちも、寝ている隙に頂戴したんだから当然ゼロと言うことになる。
わからねー。
「どういう問題なの?」
「21になってそういうことを言うんだねお前は」
「いや、わかんねーわー」
「お前は本当に俺の兄貴か?」
なるほど、と諒解しかけたが18の弟の煙草を吸う俺は実はちょっと優しい老婆心の持ち主である。無意識下のやさしい兄貴です。弟よ家へ戻ってこい。始発のまだ無い早上がりの夜の仕事の日だけうちに帰ってくるのはやめろ。などとはちっとも思ってはいない。煙草を持ってこないでくれ。俺は禁煙したいんだ!