宇多田ヒカルの歌声はα波を聴き手の脳ミソに与えるそうだがあんなアレンジじゃアドレナリンないし溜め息しかでねえよなあなどといまさら考えながらサークルの先輩に教わったリフを小一時間引き続ける。音に対していかに無自覚だったかを痛感した一時間だった。
「弾いたことを後悔するくらいのアタックで弾いたことを忘れたようにすぐ左手の指を浮かせ」
「他弦を、押弦してる指でミュートするとハーモニクスで鳴るからだめだ」
そのあとRITES OF SPRINGをはじめてアルバム通して聞いたがやはりギー・ピシオットのボーカルは落ち着く。α波が間違いなく脳内に横溢する。胃酸で胸焼けするように硫酸のような虚実浸透液がシナプスを潤す。パティスミスみてーな唱法だもんよー
して件のRITES OF SPRINGを聞いていて楽器隊のあまりの奔放さに救われたような気分になった。先の先輩いわく
「ロックなんて全部薄っぺらいく聞こえちゃう。音に対してあまりに無自覚だ。あるいはポストロックとか俺わかんねえよ。無難な、どの楽器も逸脱しない音楽とかわかんねえよ」
ポストロックについては自分も共感できるがやっぱり若いっていいなあ。エレカシかっこいいなあ
全消去
僕はいつも無理してる
酒を飲んで逃げてる
君は僕をたまに見ている
君は僕を好きかい
変わり果てたケムリ男
君は僕を好きかい
梅雨が続くが終わった後は俺だけじめじめするのか
バンドのドラムと合気道のトレーニングをした午後九時。
ドラムの彼曰く、バンド内のボーカルの女性が
「ベース(僕)が私のこと嫌ってるから、もう私抜ける」
と言ったそうで、お互いトレーニングによる汗臭いのと息の荒い中彼は言った。
「お前、本当に彼女を嫌ってないなら、彼女でオナニーしろ」
「はい!オナニーします!!」
帰宅した瞬間ぐったりと来て、まあいいやオナニーしたと言っとこう、おやすみ、あ、金縛り。
金縛りの中で、元彼女とセックスする夢を見て夢精していました。
ライジングサンロックフェスに行くぞ!!北海道まで往復一万円!片道24時間の旅!
スライマングース、ムーンライダーズを見るのだ。小谷美紗子を見るのだ。
ドメスティックアニマルズ
隣の部屋で弟がセックスしてるから爆音で音楽が鳴ってるけど聞こえねえよ
隣の部屋からヘッドフォンで聞けって怒号が飛んでくるから爆音で音楽が鳴ってるけど聴こえねえよ
こんな気分も春一番に乗りますか
オオカミ少年は性転換してゲイバーのナンバーワンホステスになった。
彼は彼の村が4年前本当にオオカミの群れに村を襲われたその直後に、村を追われたのであった。
「お前が普段から嘘をついてなければ、みんなお前を信じたのに。全部お前のせいだ」
元少年であるナンバーワンは村を出てせいせいしていた。
どいつもこいつも被害者面しやがって。俺の吐いた嘘を依りしろにして団結して村を建て直しやがって。
被害者はいつだって正義だ。加害者はいつだって絶対的な悪なのだ。相対的な物なんて誰も欲しがらない。気まぐれなオオカミではなく気まぐれな俺の嘘をそれに見立てれば話は早い。
ナンバーワンのニューハーフは畢生加害者サイドに立って生きていくことをこの時に決めた。
ゲイバー仲間の不美人な同僚と二人で飲んだことがあった。
「ああ、あたしなんで竿も玉も取ったって言うのにこんなに不遇なんだろう。」
オオカミニューハーフはそれに答えて
「そもそもお前は何でニューハーフなんかになったんだ」
「だって男でも女でもなくなれば生きて行くのがすごい楽になるような気がしたから。なんか枠に嵌った性別それぞれの社会的責任みたいなものを両方放棄出来るような気がしたから」
「結局ニューハーフにはニューハーフの社会があるのに気づいただろう。そこでお前は被害者面をするのか。ニューハーフなんていう異端の集団の中にいて、正義を気取るつもりか。被害者はいつも自分が正しいみたいな顔をするな。だが本当に正しいのは確信犯だぞ。加害者だ」
「意味がわかんないんだけど」