或る阿呆のナマステ

それこそひそやかに

飽けまして泣けた

友人知人から一通も年賀状が届かない。自分も書かない出さないのだが。
去年一度だけ行ったマッサージ店からクーポン券、兼、年賀状が来た!
僕に友達はマッサージ店だけなんだな!返事を書いてみよう。

おおきく振りかぶって (1)

おおきく振りかぶって (1)

友達に借りた。
「ヤサシイワタシ」を物語が急転直下する前に丸投げして大学の大教室に置き去りにした自分がいまさらひぐちアサを読むのも厚顔無恥のきわみ、でもないが、これ面白い。あくまで青春群像の地獄絵図が主題だろうが、これまで自分が読んできた野球漫画(キャプテン、ドカベン、MAJOR、ROOKIES)のどれよりもおそらく念入りに取材勉強されているだろうディティールの細かさ。野球、ひいては球児への愛がどのページからもうかがい知れる。「これは単なるシラケ世代の脱皮物語ではないよ」という著者の意気の表れでもあるだろう。高校野球部という舞台を用意するだけで、そこに熱血球児たちは自動的に召集される。彼らはシラケ世代の村八分かといえば、決してそうではなくその片鱗はなりを潜めつつもちらほら顔を出す。しかし舞台は高校野球、キャラクターはそれに付随してくる高校球児なのだから、何が起ころうと最終的にはポジに回収される。描き方書き方一つで完成度はどこまでも高まる。
スポーツ漫画畑ではない作家の手によるスポーツ漫画は大体例外なくとても面白い。加えて繰り返すがこの漫画は細かい取材、勉強により単純に野球漫画としても白眉の出来である。
舞台装置が主題のネガをいやがおうにもポジに反転させ、しかし反転は繰り返しつつ錐揉みしながらやはり回顧してみれば、遠くからその柱を見ればきれいにポジに統一されている。あとにはネガは残らない。高校野球が青春を逐一美化する。いつでも読後感は爽快極まりない。
女性漫画家が「オナニーしてねー」と書くだけで、また、ナイスプレーの度に「ぶるぶる」の擬音とともに身震いする超巨乳女性監督を描くだけで、ストーリーをいったん離れていろいろ楽しめるのも隠れた、というか腐女子でない男子の心を掴む大きな仕掛けではなかろうか。日本橋ヨヲコひぐちアサは得してますね。
現在5巻まで刊行。