或る阿呆のナマステ

それこそひそやかに

ニコチン中毒者に漬け込むビッチェズブリュー

アルコール一筋からマルボロへの依存対象の変更が成功。



深夜に居間にて、スプリームに泥酔した親父に
「お前はカスだ。二年間で何の進歩もしてねーじゃねーか。カスだカス。死ねよ」
と差し向かいに言われたもんだから色をなす間隙も無くその場に倒れこみ俺号泣。ちなみにこっちはまったくのしらふ。それを横目にさらにウイスキーを流し込む親父。酒が進めば口元もほころぶ。マゾの俺はひとしきり泣いたあと嗚咽を諌め、とどめがほしくてわざと席をはずさなかった。
「もう寝なさい。」
カンボジアから飛んできた核弾頭のようなありえない、しかしそれくらい衝撃的な親父の優しい一言にまた号泣。
「二年間遊んでて本当にすいませんでした。カスぶりに底を打ちます。寝ます。おやすみなさい。無い見栄はきるのをやめます。」と声にならない声で頭を下げて退席。最後の一言の意味が自分でも分からない。
そのあとSSサイズのチャイナドレスを華麗に着こなした弟が
「お兄ちゃんをいじめるのはやめなさい」
とやや遅すぎた逆欠席裁判の仲裁を買って出てきたらしい。
親父はそこでとうとう切れた。らしい。が耳栓をして部屋で寝ている俺は関知できようはずもない!

翌朝親父は生まれてはじめて不燃ゴミを捨てに行った。らしい。俺は耳栓をして寝ていた。

しかし怖かった。清原、山本精一吉村秀樹を足してあとなんか精のつく、あー山本精一がもう入ってんのか。その親父が目を座らせるんだもんなあ。
ああ怖かった。死ぬかと思った。毎晩こんな感じ。居間が地雷原。カンボジアの草っ原の上。