或る阿呆のナマステ

それこそひそやかに

メロウ

夜の九時ごろバッティングセンターで振れないバットを振っていると、横の打席で、おっさんかにーちゃんか括りにくい丸坊主さんが、ばんばんホームランを量産している。130キロで。
バットのヘッドをまったく下げずにインパクトに至るその流麗なフォームに見とれていると、そのうち坊主さんが何か口ずさんでいるのがわかった。
耳をすませそばだて聞いてみると、こう歌っていた。
「どうにもならない今日だけど 平坦な道じゃきっとつまらない」
「君と生きてく明日だから 這い上がるくらいがちょうどいい」
どこかで昔聞いた気がするようなこのむやみにメロウな歌詞!!ホームランをメロウな星空に飛ばしまくるメロウ丸坊主スラッガータンクトップ。
あとで友達に電話で自分で件の歌詞を歌い、何だっけこの曲、と聞いたら
「それは『魔法陣グルグル』のエンディングテーマだよ。『ウィンドクライミング 風に遊ばれて』だよ。俺持ってるよ。」
ああーんそうだった。すげー懐かしい。10年前くらいの曲でしたね。おれそのころしょーがくせーだ。やたら感傷的な曲でした。それをフルコーラス歌いつつ長打をかましまくる坊主が愛おしい。