或る阿呆のナマステ

それこそひそやかに

乗客

学校帰りに午後10時、電車に乗って座席に座れて一息ついて、見れば向かいの座席に完全な酔っ払いがブツブツと何やら呟いてて独り言かと思ったら俺の左はすむかいに座った中肉中背さんが「はいはい、ええ」とどうやら言葉のキャッチャーになってる様で耳をそばだてて聞いた。
「全く、宮沢賢治知ってるか?」「はい知ってますね」
「昔はああいう先生がいっぱいいたんだ。いつもなんかものくれてよう。俺は中国人を尊敬するね」
「いや僕中国人じゃないです。日本人です」
「だから中国人の事だよ。なんで中国人は犯罪に走るんだろうなあ」     「はあ、あ、僕降りるんで」
「全くよ、堂々としてりゃいいんだよ、もっとよ」