或る阿呆のナマステ

それこそひそやかに

下北沢でwitvogelのライブを見る。
この日のライブは5バンド出演した。witvogelは四番目の出演だった。
一曲目の「In the Train」の最初の一音で鳥肌が立った。
最近ライブで鳥肌が立つような感覚に見舞われなくなって久しいことに後から気づいた。
この日このバンドのボーカルはスピーカーからビービー音がするほどのすばらしい声量を響かせた。
僕はこういうのが本当に好きだ。首筋から血管を浮き立たせているボーカルが遠くからでもよく見える。
彼は風景を描写する歌詞について考えているらしいことを以前話していたが、演奏と歌詞で聞き手に風景を捉えさせ、それを明るいものか暗いものかを聞き手一人ひとりに判断させるというのは、演者、特にボーカルの資質に大きく掛かっている。演者にごまかしがあっては、リアリティの欠如があってはいけない。具体的にくだいていくのは難しい。
この日のこのバンドのボーカルは透き通るような声をスピーカーが割れるほど、血管が著しく浮き上がるほどのリアリティーで乗せた。すばらしいと思った。伝達手段において、人間的な感情的なものが本当に肝心な役割を果たすんだなあと改めて思わされた。